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「ペコロスの母に会いに行く」(岡野雄一)

ペコロス

長崎在住の無名の漫画家、ペコロスこと岡野雄一さんによる、認知症の母みつえさんとの切なくも可笑しい日々。
「西日本新聞社」発行。初版は今年の七夕だったようです。

長崎内の書店で、売上NO1になっていました。
浜の町を歩いていた時、店頭に平積みにされていたのを何気なく立ち読みしたら泣いてしまって、これはイカン!とその場を後にしたのですが、また他の店で見かけて再び立ち読み。
「背中の児」という話を読んでまたメチャ泣きして、とうとう買う事に。
大判で値段も1200円と高かったんですけど・・・これの半分サイズにしてくれないかな~。

岡野さんの父という人は酷い酒乱で、母のみつえさんは苦労したようです。
その父も年老いてからは短歌を愛する好々爺になり、80歳で没するのですが、みつえさんはその頃から認知症の症状が出始める。

話の中で、時間の感覚が現在と過去が入り混じる、みつえさんを通した家族の歴史を描いているんですね。
割と自分も思い当たる所もあって、昭和の香りっていうのですかね、胸がキュンとするシーンが多いです。
丸くて可愛いみつえさんですが、若い頃は壮絶な苦労をして、はっきりは描いていませんが、親子心中を考えたりした事もあったみたいです。
でも認知症になったみつえさんは、そんな苦労も忘れて天使のようになっている。
そして今は亡き懐かしい人々が、時々訪ねて来ているらしい。
みつえさんの夫であるペコロスさんの父も、訪ねてきて、生前の事を詫びてくれるとか。
酒の上の失敗とか、実にあるあるな感じです。
うちの父も酒癖悪かったから、同じような事あったわ~、マジで(笑)。
まあ、ここまで酷くはなかったですけど。
そういう男でも、母もみつえさんも夫を愛していたようです。
悪く言う事は1度もありませんでしたからね。しみじみ。

あちこち泣いてしまうポイントはあるんですけど、「背中の児」は何度読んでも泣ける。
みつえさんの背中には今、ヒロコというペコロスさんの姉がいるのですが、彼女は長崎に原爆が落ちた日にみつえさんの背で亡くなった子なのでした。
ペコロスさんは「遠い年月を経て神様がやっと、母に姉を返してくれた」と思います。
幻の児に「もうどこにも、いかんとぞ・・(もうどこにも行ってはダメだぞ)」というみつえさんのいじらしさに、号泣してしまいました。

悲しいだけでなく、全編ほのぼのとコミカルなタッチで描かれているので、とても楽しいです。
ボケたみつえさんの言動が凄くカワイイし!
映画化が決定したみたいで、元は地方紙か何かにちょっと描いてた物で、本も自費出版で出した物だけだったらしいので、全国版が出たのはまことに喜ばしい。
映画が出来上がったら是非、観たいと思います。


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